blog

2018/02/28 15:28

同朋舎新社では「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集『密教図像集』刊行!」のクラウドファンディングを実施していますが、この場をお借りして、仏教や曼荼羅を理解するのは難しいと感じる方々も多いことと思いますが、身近でわかりやすく、ご紹介していきます。

今回ご紹介する「曼荼羅のほとけさま」シリーズ第1弾は「孔雀明王」です。

今回刊行予定の『図像集』には、「孔雀明王図」の元図絵を取り上げています(下図参照)。密教では除災や幸福を願う祈祷が行われ、祈祷の目的ごとに異なる仏たちの図像を本尊としました。


密教は修法の手順や作法がとても複雑で、秘密的でもあるため、修法の基本を図像に伝え伝法が行われてきました。そのため祈願や幸福の実現に効験のある様々な仏がこの『図像集』には描かれています。白描図と呼ばれる図は、後に彩色の掛け図が作られ修法のご本尊として荘厳されました。それらの基となった図像集が、ここから始まっているのです。 今回は、一番人気の「孔雀明王」のお話です。

現在、東京上野の国立博物館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ展」は、長い入館待ちの行列が続いています。館内に歩を進めればほとけさまや国宝文書が待っています。その中で、とりわけ異色なのが、「孔雀明王像」の輝きです。行列の多くの人たちがここで足を止め、神秘的な孔雀に乗ったほとけ様(明王)の姿に見入っています。


■なんでも願いなさい! 願を叶える仏さま「孔雀明王」


(*上図の「孔雀明王」写真は仁和寺展図録より転載)

自分ではどうにもならない災いやどうしても実現したい願いがあります。また水害や火災、予測できない厄災を避けたい、平穏無事を願いたいなど災難を逃れて七難即滅、七福即生を叶えて下さるほとけさまを求めたくなります。

孔雀明王は、あらゆる願いをきき、災厄を払い、幸せを呼び込む存在として誕生しました。昔から願いごとや厄払いには特別な力(効験)を持ち幅広く尊崇されてきました。

特別な仁和寺の<孔雀明王像>この掛図は弘法大師空海が唐より持込んだ「孔雀経法」を修するときに特別に掛けられ、請雨祈願や病気平癒に絶大な力を発揮しました。

個人の祈念ではなく鎮護国家の大法のような孔雀経法祈願では、限られた東寺の長者や仁和寺歴代門跡など高僧だけが手がける秘法として伝えられてきました。このような大きな修法に用いられる画像や経典は決められており、ある時期からはそれらを寺門外に持ち出さすことが禁じられました。

『東宝記』の記述によれば、永保2年に東寺で孔雀経法を修したが雨が降らなかったので、仁和寺の孔雀経を借りて修法が行われ効験があったと記録されていて、その後、仁和寺では、画像や経典の持ち出しを禁ずる起請文が作られ、以後門外への持ち出しは禁じられました。孔雀明王のお力は想像を超えた効験があったのです。


(*持ち出しを禁じた 仁和寺展:「孔雀明王同経壇具等相承起請文」 上図写真は同図録より転載)

■孔雀明王の力 空をも飛ぶ役行者(えんのぎょうじゃ)

山を駆け、災厄を払う能力をもつ修験道(山伏)の元祖とも言える「役行者」は、孔雀明王の熱心な信者とし知られています。

修行中はひたすら孔雀明王の真言を唱え、幾年月の後、密教の奥義「孔雀明王法」を授かり、ついに神通自在となり鬼神を意のままにし、空中飛行するまでの伝説の行者となりました。空中歩行はともかくとして、山岳修行によって不老や延命の霊験を備え、神秘的な力を発揮し人々が崇拝する山伏となり修験道の開祖となったのでしょう。

「今昔物語」によれば文武天皇3年に妖術で人々を惑わすとして、伊豆大島に流罪となりましたが、持っている能力で度々富士山で修行したと伝承されています。孔雀明王法は、このように密教の呪法の中でも最も強力なものとされ、呪力によって、人を守護し、災厄を除く力を備えるとされています。

( ※上図の写真は「日本の仏教を築いた人たち(同朋舎新社)」より転載)

■孔雀に乗る明王 曼荼羅集の孔雀明王

孔雀明王はインドで生まれた仏教の守護神です。孔雀は毒蛇やサソリを食べる習性を持っており、外敵から人を護るとされ山岳修行者には尊崇されました。また、人間の煩悩である三毒(トン・貪り、ジン・嗔り、チ・痴行)を食べ、仏道に精進させる功徳があるとも言われています。

孔雀は元々はインドの国鳥で、雨期に対する予知能力を持つことから、祈雨法に用いられるようになったようです。

仏さまのグループとしては、明王(如来→菩薩→明王→天部)に所属しますが、不動明王、降三世明王など他の明王はすべて怒り(忿怒相)の表情で如来を守護します(寺の山門の仁王像など)が、孔雀明王は唯一優しい、菩薩の顔をしています。それが多くの人々に親しまれているのかもしれません。

「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集刊行!」プロジェクト詳細はこちら!

同朋舎新社お便りは毎週更新してまいります。次回もぜひご覧ください。

弊社のクラウドファンディング「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集刊行!」より転載2018228日公開記事)」