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2018/04/04 15:18

同朋舎新社では「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集『密教図像集』刊行!」のクラウドファンディングを実施していますが、この場をお借りして、仏教や曼荼羅を理解するのは難しいと感じる方々も多いことと思いますが、身近でわかりやすく、ご紹介していきます。


今回は密教図像集(仮)の執筆者である、「那須 真裕美先生」(種智院大学兼任教師)による寄稿です。

■きらびやかな衣裳で着飾る仏たち


曼荼羅に描かれるほとけたちは、きらびやかな衣装を身にまとっています。

頭には美しい宝冠を戴いており、とくに大日如来などが被る一層大ぶりな宝冠は、五体の小さな仏があしらわれていることから五仏宝冠と呼びます。首には宝石をちりばめた首飾りがあしらわれ、瓔珞(ようらく)という貴金属や珠玉をつづったネックレス状の装飾が下がり、胸元を豪華に飾ります。武器を手にしたり、多くの顔や腕を持つ恐ろしい姿をした明王の中には、どくろを瓔珞とするものもいます。ほとけたちの装身具は多様で、上腕にはめる腕輪である臂釧(ひせん)、手首につける腕釧(わんせん)、足首を飾る足釧(そくせん)などがあり、また耳には、イヤリングである耳璫(じとう)をつけます。

衣は軽やかで、上半身には条帛(じょうはく)という布を左肩からたすき掛けにし、背へ回して左肩に再度懸けて胸前でゆるく結びます。肩からは天衣(てんね)を懸けており、その裾が両肘の下あたりでひらめいています。腰から下は、裳(も)や裙(くん)と呼ばれる布で覆います。


涼やかな異国風の衣装ですが、曼荼羅には女性のほとけも登場します。彼女たちは、天衣や条帛の下に長袖のブラウスのような薄物の衣をまといます。中国・唐代に流行した貴婦人の衣装を模していますが、西チベット・ラダックの曼荼羅でも、女性のほとけたちはカットソーのような上着を着けた姿で描かれます。

巻貝のようにカールした螺髪(らほつ)で表現される如来や、逆巻く炎のように天を衝く焔髪(えんぱつ)をした明王を除いては、曼荼羅のほとけたちは長い髪を美しく髻(もとどり)に結い上げます。多くはひとつに高く結って宝冠を戴きますが、中には文殊菩薩のように、五髻(ごけい)や八髻(はっけい)などの独特な髪形もあります。

これらの多彩なほとけたちの姿は、平安時代から鎌倉時代にかけて白描図像として編纂された図像集に詳しく伝えられました。別尊曼荼羅(べっそんまんだら)の集成である『曼荼羅集』にも、さらりとした端正な筆致でありながら、きらびやかなほとけたちの姿をうかがうことができます。