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2018/04/26 16:49

同朋舎新社では「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集『密教図像集』刊行!」のクラウドファンディングを実施していますが、この場をお借りして、仏教や曼荼羅を理解するのは難しいと感じる方々も多いことと思いますが、身近でわかりやすく、ご紹介していきます。

今回をもって、最後の寄稿となりますが、今回は「 那須真裕美先生」( 種智院大学兼任講師学)による寄稿となります。

像として木や石などで立体的に造形されるにせよ、絵画として色とりどり美しく描かれるにせよ、「ほとけと言えば蓮の花の上に坐したり立ったりする姿」。そのようなイメージが少なからずあります。曼荼羅のほとけたちも、如来や菩薩たちなど、その多くは咲く蓮の花の上、すなわち蓮華座と呼ばれる台座の上に表現されています。しかし、よくよく目を凝らせば、それだけに限らないことに気が付きます。

とりわけ天部や明王などの台座は多彩であり、蓮の花ではなく蓮の葉を台座とする荷葉座(かしょうざ)、ごつごつした岩の形を表わす岩座(いわざ)、岩座を意匠化したとされる角材を組み合わせたような瑟瑟座(しつしつざ)、岩座の一種で海岸の波打ち際を思わせる州浜座(すはまざ)、わき立つ白雲をかたどった雲座(くもざ)、円形の毛氈にひらひらとひらめく縁飾りをあしらった氍毺座(くゆざ)、牛や馬、ガチョウなど動物の上に坐す鳥獣座(ちょうじゅうざ)などがあります。

*上図は「孔雀に乗る 孔雀明王図」

そして、これらの台座は、それぞれのほとけの特徴となる場合がしばしばあります。幾重かに積み上げた角材状の台座である瑟瑟座の上には明王、とくに不動明王が坐するのが一般的であり、また孔雀明王は、その名の通り孔雀の上に蓮華座を載せて坐す姿で表わされます。立派な角を生やした牛の上に配されるのは大威徳明王(だいいとくみょうおう)、梵天は数羽のガチョウを並べた上に坐す点が特徴といえます。また、梵天もそのグループに含まれる十二天という方角を護るほとけたちの中には、荷葉座や氍毺座に坐す以外に、鳥獣座に乗る姿で描かれるものもあります。伊舎那天(いしゃなてん)と焔摩天(えんまてん)は牛に、帝釈天は象、羅刹天(らせつてん)は獅子、火天は羊に、水天は亀に乗ります。日天は馬に、月天は梵天と同じくガチョウの上に坐した姿で表わされます。


*上図は「 牛に乗る 大威徳明王図

蓮の上に坐す優美な如来や菩薩たちとは異なった、バリエーションに富む特色ある明王や天部の姿は、別尊曼荼羅(べっそんまんだら)に多く登場しており、これら別尊曼荼羅の集成である『曼荼羅集』にも、多種多様な台座に至るまで描かれたほとけたちを見ることができます。

「平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集刊行!」プロジェクト詳細はこちら!

弊社のクラウドファンディング平安・鎌倉時代の重要文化財「別尊曼荼羅」を保護し、未来に伝える図像集刊行!活動報告より転載(2018年4月26日公開記事